春から初夏にかけて旬を迎えるアスパラガス。
独特な食感と鮮やかな色が特徴で、サラダやパスタ、スープ、メイン料理の付け合せなど様々な場面で登場する人気の野菜ですよね。
『アスパラガス』と聞くと、緑色のグリーンアスパラを想像しますが、じつはホワイトアスパラも全く同じ品種です。
もちろん、ただ色分けしているわけではなく、味や食感などにも違いがあります。
この記事では、グリーンアスパラとホワイトアスパラの味や食感の違い、新鮮なアスパラガスの見分け方、美味しい食べ方を解説しています。
もくじ
グリーンアスパラとホワイトアスパラの違い
グリーンアスパラとホワイトアスパラは元々同じ品種ですが、様々な違いがあります。
- 栽培方法
- 形
- 味と食感
- 栄養
- 価格
どちらのアスパラガスになるかは栽培方法で決まる
成長時に太陽の光を浴びているかどうかで、どちらのアスパラガスになるかが決まります。
- 陽の光を浴びる → グリーンアスパラ
- 暗闇で育てる → ホワイトアスパラ
グリーンアスパラは、陽の光を浴びることで光合成をおこない、緑色の色素(クロロフィル)が生成されます。
一方でホワイトアスパラは、土や遮光フィルムなどで光を遮断しているためクロロフィルが生成されず、全体が白いまま成長するわけです。
ホワイトアスパラが陽の光を浴びるとピンクになっちゃうから、収穫するときはスピードが命。
ホワイトアスパラのほうが太い
どちらのアスパラガスも形状に大きな違いはありませんが、ホワイトアスパラの茎はやや太いです。
理由は、光が遮られることで成長が遅くなり、多くの水分を含むから。
その結果、同じ長さのグリーンアスパラとホワイトアスパラを比較してみると、ホワイトアスパラのほうが太く、重さもあります。
味と食感の違い
グリーンアスパラが独特の苦みとシャキシャキした食感なのに対して、ホワイトアスパラは甘みが強く柔らかいのが特徴です。
これは、ホワイトアスパラが日光に当たらないことから、苦みやエグ味を引き起こす成分が少なく、繊維も柔らかくなるため。
また、どちらのアスパラガスも新鮮な状態だと、みずみずしさと甘さが強くなります。
栄養素が豊富なのはグリーンアスパラ
アスパラガスは栄養価の高い野菜としても有名ですが、ホワイトアスパラよりグリーンアスパラのほうが栄養素が豊富です。
ホワイトアスパラは光合成をおこなわないので、ベータ―カロテンやルチンが生成されず、全体の栄養素の量もグリーンアスパラより少ないです。
ちなみに『アスパラギン酸』はアミノ酸の一種で、疲労回復に効果的。
栄養ドリンクとかに入っているよ。
値段はホワイトアスパラのほうが高い
ホワイトアスパラは、栽培や収穫に手間がかかるため、グリーンアスパラに比べて値段が高いです。
スーパーなどではホワイトアスパラがグリーンアスパラの2倍以上の値段で販売されていることも。
そもそもホワイトアスパラを生産している農家さんが少なく、グリーンアスパラより流通量が少ないのも理由のひとつですね。
生産地の違い
アスパラガスは日本国内でも栽培されていますが、生産量は海外のほうが多いです。
アスパラガスの主な生産地
- グリーンアスパラ → 中国、ペルー、メキシコ、ドイツ、スペイン
- ホワイトアスパラ → ドイツ、フランス、オランダ、ベルギー、スペイン
グリーンアスパラは世界各地で生産されているのに対し、ホワイトアスパラは主にヨーロッパで生産されています。
とくにホワイトアスパラガスはヨーロッパの食文化に深く根付いており、「野菜の女王」「マドモワゼルの指先」「王の野菜」「ホワイトゴールド」と称されるほど。
ちなみに全体的な生産量だと日本は第8位で、北海道や佐賀県が有名だね。
どちらのアスパラガスも春~夏に旬を迎える
グリーンアスパラとホワイトアスパラはどちらも春から初夏にかけて旬を迎えます。
アスパラガスの生育に適した温度は15~20℃なので、日本だと4月から6月ごろが収穫のピーク。
旬のアスパラガスはとくに栄養が高く、味が濃いのが特徴です。
旬の時期を過ぎると国内産のアスパラガスは激減するので、スーパーなどで見かけるのは輸入品が多くなります。
新鮮なアスパラガスの選び方
アスパラガスに限らず、どの野菜も一番美味しいのは収穫したてです。
収穫したてのアスパラガスはハリがあり、甘みも強いのが特徴です。
しかし、一般的にスーパーにアスパラガスが並ぶまでには4~5日ほどかかります。
もちろんその間にもアスパラガスは成長しているので、どんどんスジが固くなり、甘みも落ちてしまいます。
できるだけ新鮮なアスパラガスを選ぶためには4つのポイントを抑えておきましょう。
- 色の鮮やかさ
- 穂先が締まっている
- 茎の硬さ
- 切り口の状態
スーパーだと束で売ってるから1本1本チェックするのは難しいけど、参考にしてみてね。
色の鮮やかさ
新鮮なアスパラガスは、色の鮮やかさで判断することができます。
新鮮であるほど、鮮やかな緑色または白色になり、変色やくすみがありません。
とくに時間が経過したホワイトアスパラは、ピンクや黄色っぽくなっているので、できるだけ真っ白なものを選びましょう。
穂先が締まっている
新鮮なアスパラガスは、穂先がぴったりと締まっています。
穂先が開いていたり痛んでいたりすると、成長し過ぎて鮮度が落ちている証拠。
味や食感が落ちるので避けましょう。
茎の硬さ
新鮮なアスパラガスは茎がしっかりと伸びていて、適度な硬さがあります。
茎を触ったときに弾力があり、折れにくいものを選びましょう。
また、茎が太すぎたり細く曲がっていると、エグミが強くなり味も落ちてしまいます。
切り口の状態
新鮮なアスパラガスは、切り口が湿っていて色も鮮やかな状態です。
切り口が乾燥していたり茶色く変色していると、収穫されてから時間が経っています。
また、新鮮な状態でも保存方法が雑だと切り口にカビや黒ずみがあるので注意しましょう。
アスパラガスを使ったおすすめ料理
現役フレンチシェフの筆者が、アスパラガスを使ったおすすめ料理を5つ紹介します。
普段食べているアスパラガスが何倍にも美味しくなるので、ぜひ試してみてくださいね。
ホワイトアスパラガスのオランデーズソース添え
- ホワイトアスパラ 2本
- バター 30g
- 卵黄 1個分
- レモン果汁 小さじ1/2
- 塩 少々
- 胡椒 少々
オランデーズソースとは、卵黄にバターとレモン果汁を混ぜ合わせたソースです。
フランス料理の代表的なソースで、濃厚な味わいはホワイトアスパラガスとの相性抜群。
まずは、ホワイトアスパラガスの皮をピーラーでむいて、やわらかくなるまで茹でます。
茹でるときにレモン果汁を入れると、キレイに仕上がるよ。
オランデーズソースの作り方
- バターを耐熱容器に入れ、電子レンジで加熱し、溶かす
- 耐熱ボウルに卵黄とレモン果汁、塩、胡椒を加えよく混ぜる
- ②のボウルを湯煎にかけ、バターを少しずつ加えながら混ぜる
- 泡立ってトロトロになったら湯煎からはずす
最後に茹でたホワイトアスパラのうえに、オランデーズソースをかけて完成です。
粉チーズをかけてオーブンで焼いても美味しいよ。
グリーンアスパラと生ハムの春巻き
- グリーンアスパラ 2本
- 生ハム 15g
- 粉チーズ 5g
- 春巻きの皮 2枚
- 黒胡椒 少々
グリーンアスパラと生ハムを春巻きの皮で包み、揚げ焼きにします。
作り方
- グリーンアスパラの皮をむいて少し硬めに茹でる
- 春巻きの皮、生ハム、グリーンアスパラの順に重ねる
- 粉チーズと黒胡椒をかける
- 包んだらフライパンで揚げ焼きにする
グリーンアスパラは剥いた皮と一緒に茹でると、キレイな緑色に仕上がるよ。
外はサクサク、中はジューシーで、生ハムの塩味と黒胡椒がアクセントになって、晩酌のお供にも最適ですよ。
アスパラガスのフリット
- アスパラガス 2本
- 炭酸水 10g
- 小麦粉 50g
- 塩 少々
『フリット』とは、イタリア発祥の揚げ物のことです。
揚げ衣にメレンゲや炭酸水を加えることで、アスパラがフワフワの衣に包まれます。
作り方
- アスパラを3cmにカット
- ボウルに小麦粉、炭酸水を入れて混ぜる
- 衣にアスパラをくぐらせ、油で揚げる
お好みでレモンや塩をかけて食べましょう。
アスパラの甘さと、なんとも言えない食感がたまらない。
緑と白以外にも『紫アスパラ』『ミニアスパラ』がある
グリーンアスパラやホワイトアスパラ以外にも、『紫アスパラ』や『ミニアスパラ』があります。
紫アスパラ
紫アスパラとは、その名のとおり表面がきれいな紫色をしている品種です。
独特の紫色はポリフェノールのアントシアニンによるもので、グリーンアスパラより甘みが強くやわらかいのが特徴です。
旬の時期もグリーンアスパラやホワイトアスパラと同じですが、少しでも収穫が遅れると緑色になってしまうため、圧倒的に生産量が少なく、他のアスパラガスより値段は高め。
また、加熱しすぎるとアントシアニンが流れて緑色になってしまうので、茹でるときに少量のお酢を入れるのがポイントです。
ミニアスパラ
ミニアスパラは、成長途中のグリーンアスパラを収穫したミニチュアサイズのアスパラガス。
収穫時期が早いため、グリーンアスパラよりもやわらかく、皮ごと食べられます。
大きさは10cmほどで、火の通りも早く、サラダや炒め物なとに使うのが一般的です。
アスパラガスは生でも食べられる?
アスパラガスといえば加熱して食べるのが一般的ですが、じつは生でも食べられます。
生のアスパラガスは、味が濃く食感もシャキシャキで、加熱したのとは全くの別物です。
皮をむいて薄切りにし、カルパッチョのようにオリーブオイルとレモン汁、塩、胡椒で食べると絶品。
しかし、どんなアスパラガスでも生食できるわけではなく、新鮮であることが必須条件。
またスーパーに並んでいるものは、収穫から時間が経っているので生食には不向きです。
「生のアスパラを食べてみたい!」という人は、産直サイトなどで収穫したのアスバラガスをお取り寄せしてみるのもいいかもしれませんね。
グリーンアスパラとホワイトアスパラの違い|まとめ
グリーンアスパラとホワイトアスパラは元々同じ品種ですが、栽培方法で色が変わり、味や食感なども違います。
もちろん旬のアスパラガスはどれも栄養価が高く美味しいですが、収穫したては味も香りも別格です。
ぜひ新鮮なアスパラガスを食べて、心地よい春を迎えてみてはどうでしょうか。