料理が好きだから将来は調理師になろうと思ってるんだけど、仕事は楽しいのかな?
調理の世界って厳しいイメージだけど、実際はどうなの?
給料安いのに忙しいってホント?
数ある職種のなかで、なぜ調理師になりたいのか?
多くの人は『料理が好きだから』、『美味しいと言われると嬉しいから』ですよね。
16年前の僕が調理師を目指したのも同じ理由です。
そのときは自分が活躍する姿を想像し、期待に胸をふくらましていました。
こんな人のための記事
- 調理師になろうか迷っている
- 調理師の仕事は楽しいのか知りたい
- ぶっちゃけ給料ってどうなの?
現在は都内でフレンチレストランで働いています。
集団調理の経験もあります。
集団調理については別記事で説明しています。
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【集団調理の仕事は楽?大変?】5年間働いた調理師が徹底解説!
結論から言うと、大変だったけど楽しかったです。
全て僕が経験したことなので、参考になるかと思います。
ぜひ、最後までじっくり読んでみてください。
調理師の仕事は楽しい?
「好きなことを仕事にできるなんて最高じゃん!!」
厳しい言い方ですが甘い考えです。
趣味で料理
- 自分の気が向いたときにできる
- 食べたいものを作れる
- 勝手なアレンジができる
- 「美味しい」などの反応がすぐに聞ける
- 失敗しても気にしない
- なんでも自分でできる
- アマチュア
仕事で料理
- 仕事の時間はずっと料理を作っている
- 食べれない物でも作らなければいけない
- 決まったレシピがあるのでアレンジは不可
- 裏方なので「美味しかった」と直接言われない
- 失敗すると、お客様に迷惑がかかる
- やりたい仕事ができるとは限らない
- 最初のころは雑用ばかり
- 周りと比べられる
- プロとしての自覚を求められる
ざっくりとですが、これだけの違いがあります。
僕がホテルに入社して1年間で、ほとんどの同期が辞めてしまいました。
どれだけ厳しい世界なのかわかってもらえましたか?
それでも僕が楽しいと思えたのは、実力主義だったからです。
年齢、性別、学歴も関係ありません。実力がある人が評価されていくんです。
実際に僕が3年目のとき、6年目の先輩に指示を出していました。
こんなにわかりやすく、努力が実を結ぶ仕事は他にないと思います
「美味しいものをつくるんだ!」
「あの人には負けない!」
「いつか見返してやる!」
そんな気持ちから毎日がむしゃらに働いていました。
大変だけど楽しかったホテルでの仕事ですが、デメリットとメリットを解説していきます。
デメリット
- サービス残業が多い
- 泊りが多い
- 祝日は休めない
- 仕事中のメモは禁止
- 配属先によっては、やりたい料理ができない
- アレルギーがある人は注意
- パワハラは存在する
- 努力しないと置いてけぼり
- 覚えることが無限にある
- 知識だけではなく、技術も磨かないと通用しない
自分で書いてて、「よくやってられたな……」と思ってしまいます。(笑)
サービス残業が多い
サービス残業とは残業代がもらえないこと。
つまり、タダ働きです。
もちろん法律違反ですが、黙認しているところが多いですね。
定時で帰れた日なんか、嬉しくてソワソワしちゃいます。
そんななか頑張れたのは、『今の経験が必ず自分のためになる』と思えたから。
数年後、努力の甲斐あって自分の考案したコース料理を名前付きでやらせてもらいました。
泊りが多い
僕の働いていたとこは営業時間が6時~22時でした。
勤務時間が早番、中番、遅番にわかれていて、片付けや翌日の仕込みを考えると遅番⇒早番のときは泊り確定です。
夜は12時まで、朝は4時から仕事をしてましたよ。
これが普通だと思っていたので、慣れって怖いですよね。
祝日は休めない
それは『みんなが休みの日』、『イベントの日』が繁盛期だから。
年末年始、GW、クリスマスが特に忙しく休んだことがありませんでした。
年末年始なんて、「気づいたら年明けてた」なんてことがほとんどでです。
仕事中のメモは禁止
これホント困ります。
仕事を覚えるためにメモするのって普通ですよね。
なんなら、「おっ!メモとってるのか?やる気あるな。」って思われそう。
でも、違うんですよ。
「なに仕事中にメモなんかしてんだ!!体で覚えろ!」って言われました。
仕方ないので、休憩中にこっそりメモしてましたよ。
配属先によっては、やりたい料理ができない
僕は運良くずっと同じレストランでしたが、定期的に配置換えがあります。
ブッフェ、イタリアン、フレンチ、和食、中華、カフェなどです。
本人の意思も多少は尊重してくれるのですが、希望してないレストランへの配属もありえます。
そこで、「やりたくない」と思ってしまうか、「知らないことを覚えられる」と前向きに思えるか、気持ち次第ですよね。
アレルギーがある人は注意
「カニアレルギーなんで、この料理は味見できません。」
暇なときはいいですが、忙しいときにそんなこと言えないです。
食べれないけど、味見をしないといけない。
そんな状況もあります。
パワハラは存在する
今でこ『パワハラ』という言葉が浸透していますが、そんな言葉がない先輩たちは厳しい時代でやってきた人たちばかり。
「自分たちの時代はこうだった」、「厳しい環境で覚えていくのが当たり前」という考えが根付いています。
僕もミスをするたび怒鳴られたり、叩かれたりしてました。
今は『パワハラ』という言葉に世間が敏感なので、少なくなっているかもしれませんね。
努力しないと置いてけぼり
日々の小さな努力で、驚くほど差がつくのが調理の世界。
後輩に抜かれたり、邪険に扱われることも普通にあります。
向上心がない人、努力が苦手な人には向かない職業だと思います。
覚えることが無限にある
切り方一つでも様々な呼び方があります。
日本語 | フランス語 | イタリア語 |
みじん切り | hacher アシェ | tritare トリート |
薄切り |
émincer エマンセ | fetta フェッタ |
輪切り |
rondelle ロンデル | rondella ロンデッラ |
これに食材、調理器具、調理法もあるんですから無限と言ってもいいですよね。
知識だけではなく、技術も磨かないと通用しない
本を読んで知識を身に付けることも大事です。
でも、実際にそれができるのか?
フランス料理の代表的なソースにブール・ブラン( beurre blanc )というものがあります。
これはバターを乳化させていくのですが、温度やバターの量、火からはずすタイミングは感覚で覚えるしかありません。
僕も数えきれないほど失敗しました。
やっぱり、自分の経験からしか身に付かないんです。
メリット
デメリットが多すぎて調理師を目指す人がいなくなりそうなので、メリットにいきます。
- 実力主義なので、やる気があればどこまででも目指せる
- できなかったことが、できたときの感動が大きい
- 仕事仲間との絆が深い
- 自分の考えた料理がメニューに載る喜び
- 賄い料理が最高!!
実力主義なので、やる気があればどこまででも目指せる
レストランのトップシェフになること、総料理長になること、自分の店をもつことだってできます。
実力主義だからこそ、努力次第なんです。
将来の野望や夢がある人は、挑戦してみてはいかがでしょうか。
できなかったことが、できたときの感動が大きい
忙しいし大変だからこそ、やりがいがあります。
できなかったことができて、トップシェフに「美味い」と言われたときの感動は表現できません。
努力が報われた瞬間です。
そして、「じゃあ次はこの仕事やってみるか?」と次のステージに進むことを許されます。
この繰り返しで、ドンドン実力をつけていくんです。
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仕事仲間との絆が深い
忙しく大変な時間を共にした職場の人とは、自然に絆が深くなっていくものです。
仕事終わりに食事に連れてってもらったり、自分のスキルを教えてたりします。
あれだけ厳しかったのがウソのように、友達みたいな関係になれるんですよ。
認められたってことなんですよね。
困ったとき、悩んでいるときも本当に親身になって話を聞いてくれました。
バカな話もいっぱいしましたし、辞めたあとでも連絡を取り合う仲です
仲良くなってから「なんであんなに厳しかったんですか?」って聞いたら、「そんなことあったっけ?覚えてない」って言ってました。
先輩からしたら厳しくしてたつもりはないみたいです。
あの厳しさが普通なんてイカレてるよ。(笑)
自分の考えた料理がメニューに載る喜び
これ経験したらクセになりますよ。
だって僕が考えた料理を、先輩たちが作ってるんですから。
先輩たちをまとめて追い抜いた気分でした。
たまにお客様から「シェフに挨拶がしたい」なんて言われて出ていくと、「こんな若い人が、こんな美味しいもの作ってたのか?驚いたよ!」ですって。
名刺貰ったら『社長』って書いてあって驚いた記憶があります。
賄い料理が最高!!
調理の世界では賄いは勉強と言われています。
和牛、フォアグラ、トリュフ、キャビア、アワビ、フカヒレなど勉強と称して散々食べました。
お金払ったら、給料じゃ足りません。
これも調理師の特権ですよね。
調理師の給料は?
最初はとても少ないです。
手取りで17万くらいでした。
仕事ができるようになれば、それに合わせて役職もつき給料も上がります。
僕が辞めた30歳のときは、手取りで30万くらいでした。
ココに注意
先輩だけど、僕より給料が少ない人はたくさんいます
まとめ 調理師を目指す人へ
調理師の世界は本当に厳しいんですよ。
でも、僕みたいに心から楽しいと思える人がいるのも事実なんです。
これらは、あくまで僕が働いていたホテルでの経験です。
全ての調理師がこうであるというわけではありませんので注意してください。
でも、「こんなところもある」というのを頭の片隅に置いてもらえればと思います。
この記事が調理師を目指している人の参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。