日本人に「世界三大珍味は?」と質問すると、当然のように『トリュフ』『フォアグラ』『キャビア』と答えます。
世界三大珍味は、フランス料理の高級食材としても有名ですが、果たして世界でも認識されているのでしょうか?
以前フランスを訪れた際に、現地の人から「世界三大珍味ってなに?(笑)」といわれたので、気になって調べてみました。
もくじ
「世界三大珍味」は日本だけ!海外では通じない
海外の食文化について調べてみましたが、「世界三大珍味」について書かれている文献は見つかりませんでした。
つまり、「世界三大珍味」という言葉は日本独自のものであり、海外では通用しないということ。
『トリュフ』『フォアグラ』『キャビア』は希少価値が高い食材ですが、世界三大珍味を决めるための明確な基準は存在せず、客観的な根拠や権威はないと言えます。
明確な文献が残っていないため、世界三大珍味という言葉がいつから使われ始めたかも定かではありません。
欧州の食材が中心なので、昔の有名なフランス人シェフが「歴史あるフランス料理において、これが世界三大珍味だ!」と決めた、という説が濃厚です。
また、日本人にとってフランス料理は「世界の高級食材を使った美味しい料理」というイメージがあるので、それも影響しているのかもしれませんね。
珍味以外の「世界三大」と呼ばれている食材
世界三大珍味の他にも、「世界三大」と呼ばれているものが多数あります。
しかし、世界三大珍味と同様に、誰がどんな基準で決めたのか、明確な記載はありません。
世界三大スープ
世界三大スープは、タイの「トムヤムクン」、中国の「フカヒレスープ」、フランスの「ブイヤベース」、ロシアの「ボルシチ」の4種類です。
- トムヤムクン
- フカヒレスープ
- ブイヤベース
- ボルシチ
どれも世界的に有名なスープですが、明確な基準がないため「三大」なのに4種類選ばれています。
世界三大コーヒー
世界三大コーヒーとは、タンザニアの「キリマンジャロ」、ジャマイカの「ブルーマウンテン」、ハワイの「コナ」のことです。
- キリマンジャロ
- ブルーマウンテン
- コナ
キリマンジャロは強い酸味と豊かな香り、ブルーマウンテンはバランスの良い味わいと芳醇な香り、コナは苦味が少なく柔らかな酸味と甘みが特徴です。
世界三大銘茶
世界三大銘茶とは、中国の「祁門紅茶(キームン)」、インドの「ダージリンティー」、スリランカの「ウバ」の3つの紅茶の産地を指します。
- ウバ
- ダージリン
- キームン
ウバは甘さとスッキリした香りを併せ持ち、キームンは渋みが少なく芳醇な味わいが特徴です。
ダージリンは3つの収穫時期によって味や香りが異なり、「紅茶のシャンパン」とも呼ばれています。
ストレートでも美味しいですが、濃いめのミルクティーにすると飲みやすくてオススメですよ。
世界三大ブルーチーズ
世界三大ブルーチーズは、フランスの「ロックフォール」、イタリアの「ゴルゴンゾーラ」、イギリスの「スティルトン」を指します。
- ゴルゴンゾーラ
- スティルトン
- ロックフォール
ブルーチーズとは、表面や内部に青カビを繁殖させたチーズで、強い香りや塩味が特徴です。
どれも濃厚なコクとクセがたまらなく、ワインや日本酒と相性抜群。
関連意外と知らないブルーチーズの美味しい食べ方!選ぶときのコツも解説
世界三大ハム
世界三大ハムは、イタリアの「プロシュート・ディ・パルマ」、スペインの「ハモン・セラーノ」、中国の「金華ハム」を指します。
- プロシュート・ディ・パルマ
- ハモン・セラーノ
- 金華ハム
豚肉を塩漬けにしたあとで熟成させているため、噛めば噛むほど旨味が口の中に広がります。
世界三大健康野菜
世界三大健康野菜とは、「アピオス」「菊芋(キクイモ)」「ヤーコン」と呼ばれる野菜のこと。
- ヤーコン
- キクイモ
- アピオス
アピオスは高血圧やアレルギーの予防、菊芋とヤーコンは糖分やコレステロールの吸収を抑えることで、生活習慣病の予防に効果的です。
世界三大穀物
世界三大穀物は、「米」、「小麦」、「トウモロコシ」のこと。
- 米
- 小麦
- とうもろこし
世界で栽培される穀物の中で、とくに生産量が多いものが選ばれていますね。
世界三大米料理
世界三大米料理は、スペインの「パエリア」、中央アジアの「ピラフ」、イタリアの「リゾット」です。
- パエリア
- リゾット
- ピラフ
パエリアは、スペインのバレンシア地方の代表的な米料理で、魚介類や肉類などの具材と米をパエリェラという鍋で炊き上げ、サフランで色と香りをつけます。
ピラフは、中央アジアや中近東が発祥とされる米料理で、米とタマネギをバターや油で炒めてから出汁やスパイスで炊き上げたもの。
リゾットは、北イタリア発祥の米料理で、米をバターやオイルで炒めてから白ワインや出汁で炊き上げたものです。
世界三大美酒
世界三大美酒とは、「ワイン」、「紹興酒」、「日本酒(純米吟醸)」のこと。
- ワイン
- 紹興酒
- 日本酒(純米吟醸)
ワインはぶどう、紹興酒はもち米、日本酒は米と麹を原料とする醸造酒です。
世界三大蒸留酒
世界三大蒸留酒は、スコットランド発祥の「ウイスキー」、フランス発祥の「ブランデー」、中国発祥の「白酒」のこと。
- ウイスキー
- ブランデー
- 白酒
蒸留酒とは、醸造酒を蒸留して作るお酒です。
どれもアルコール度数が高く、ウイスキーは約40~43度、ブランデーは約37~50度、白酒は約50〜65度あります。
世界三大醸造酒
世界三大醸造酒は、「日本酒」、「ビール」、「ワイン」を指します。
- 日本酒
- ビール
- ワイン
米を原料とする「日本酒」、麦を原料とする「ビール」、ブドウを原料とする「ワイン」が選ばれています。
醸造酒は、原料を発酵させてアルコールを生成するため、蒸留酒よりアルコール度数が低め。
世界三大貴腐ワイン
世界三大貴腐ワインは、フランスの「ソーテルヌ」、ドイツの「トロッケンベーレンアウスレーゼ」、ハンガリーの「トカイ・アスー」を指します。
- ソーテルヌ
- トカイ・アス―
- トロッケンベーレンアウスレーゼ
貴腐ワインとは、貴腐ブドウと呼ばれる糖度の高いブドウから造られる極甘口の白ワインのことです。
貴腐ワインを作るためには特別な気候や地理的条件が必要なため、その希少性から「ワインの帝王・帝王のワイン」とも呼ばれています。
世界三大酒精強化ワイン
世界三大精強化ワインは、 スペインの「シェリー」、ポルトガルの「ポート」「マデイラ」の3つを指します。
- シェリー
- ポート
- マデイラ
酒精強化ワインとは、ワインの醸造過程の途中でアルコールを添加し、アルコール度数を高めたワインのこと。
ティラミス作りなどに使われるイタリアの「マルサラ」を加えて、世界四大精強化ワインと呼ぶこともあります。
日本や中国にも「三大」がある
世界だけでなく、日本や中国の「三大」もあります。
中国三大珍味
中国三大珍味とは、「フカヒレ」、「アワビ」、「海ツバメの巣」を指します。
- フカヒレ
- アワビ
- 海ツバメの巣
どれも中国の伝統的な高級食材として知られており、フカヒレは大型のサメのひれを乾燥させたもの、海ツバメの巣はアマツバメの分泌物から作られた巣のこと。
フカヒレにはコラーゲン、アワビにはタンパク質とミネラルが豊富で、海ツバメの巣には美容効果があるといわれています。
日本三大珍味
日本三大珍味は、「うに」、「このわた」、「からすみ」の3つです。
- うに
- このわた
- からすみ
このわたはナマコの腸を塩漬けにし熟成させたもの、からすみはボラの卵巣を塩漬けにし乾燥させたものです。
日本三大和牛
日本三大和牛は、滋賀県の「近江牛」、三重県の「松坂牛」、兵庫県の「神戸牛」を指します。
- 近江牛
- 松阪牛
- 神戸牛
神戸牛ではなく、山形県の「米沢牛」を日本三大和牛と呼ぶ場合もあるようです。
日本三大銘茶
日本三大銘茶とは、京都の「宇治茶」、静岡の「静岡茶」、埼玉の「狭山茶」のことです。
- 静岡茶
- 宇治茶
- 狭山茶
宇治茶は「宇治茶手もみ製茶技術」という製法で作られ、京都府の「無形民俗文化財」にも指定されています。
日本三大やきそば
日本三大やきそばは、静岡県の「富士宮やきそば」、秋田県の「横手やきそば」、群馬県の「上州太田焼そば」の3種類を指します。
- 富士宮やきそば
- 横手やきそば
- 上州太田やきそば
富士宮やきそばは、B-1グランプリで2連続金賞を受賞したことでも有名ですよね。
日本三大ラーメン
日本三大ラーメンは、北海道の「札幌ラーメン」、福島県の「喜多方ラーメン」、福岡県の「博多ラーメン」の3つです。
- 札幌ラーメン
- 喜多方ラーメン
- 博多ラーメン
札幌ラーメンは太くて縮れた麺が特徴で、スープは味噌・醤油・塩の3種類があります。
喜多方ラーメンは、平たくて太い縮れ麺が特徴で、スープは醤油味がベース。
博多ラーメンは、麺は細くてストレート、スープは白濁した豚骨スープです。
日本三大うどん
日本三大うどんとは、香川県の「讃岐うどん」、秋田県の「稲庭うどん」を指しますが、3つ目のうどんについては諸説あり、長崎県の「五島うどん」と群馬県の「水沢うどん」が有力候補とされています。
- 讃岐うどん
- 稲庭うどん
- 水沢うどん or 五島うどん
富山県の「氷見(ひみ)うどん」を加えて五大うどんと呼ぶこともあるようですね。
日本三大そば
日本三大そばとは、岩手県の「わんこそば」、島根県の「出雲そば」、長野県の「戸隠そば」を指します。
- わんこそば
- 出雲そば
- 戸隠そば
新潟県の郷土料理である「へぎそば」を日本三大そばのひとつとする場合もあるようです。
「世界三大」は日本だけの言葉|まとめ
今回紹介した以外にも、「世界三大」と呼ばれるものは多数あります。
しかし、誰が決めたのか曖昧ですし、明確な基準や客観的な根拠もありません。
日本人はトップ3やベスト3など、「3」という数字を好む傾向があるのも影響しているのかも。
たしかに世界三大珍味という言葉は日本だけですが、『トリュフ』『フォアグラ』『キャビア』が世界的な高級食材として認知されていることは事実ですね。
-
「知らないと恥ずかしい!」世界三大珍味の特徴をフレンチシェフが解説!
続きを見る