別名「黒いダイヤ」とも呼ばれるトリュフは、フォアグラやキャビアとならんで、世界三大珍味に上げられる高級食材です。
トリュフは地中20cmほどに埋まっているため、姿を見せないキノコとしても知られています。
人の目では見つけることができないので、人間よりも遥かに嗅覚が優れている『豚』が選ばれました。
しかも豚は、本能的にトリュフを見つけられるため、トリュフ探しに最適な動物なのです。
トリュフを本能的に見つけられるのは、雌の豚だけ。
もくじ
雌豚は『トリュフの香り』ではなく『雄豚の匂い』を探している
雌豚は特別な訓練を受けなくても、本能的にトリュフを見つけ出すことができます。
しかし、雌豚が探しているのは、トリュフではなく雄豚の匂いなんです。
トリュフは自身で胞子をまき散らすことができないため、成熟期になると芳醇な香りで動物をおびき寄せ、胞子を運んでもらおうとします。
そしてトリュフの芳醇な香りには、「アンドロステノン」という匂い成分が含まれており、雄豚が交尾時に分泌する「性のフェロモン」と非常に似ています。
雌豚にとってトリュフの香りは、「美味しそうな餌」ではなく、異性を感じさせる本能的な匂いに近いのです。
つまり、雌豚はトリュフの香りではなく、繁殖期の雄豚を探しているわけです。
豚はトリュフを見つけたら食べてしまう
雌豚は本能的にトリュフを探してくれますが、見つけたらその場で食べてしまいます。
せっかくトリュフを見つけても食べられてしまっては意味がありません。
とはいえ、訓練を受けていないので、当然の結果ですよね。
一度でもトリュフの味を知ってしまうと、「せっかく見つけた餌を取られる」と思い、必死に抵抗します。
強引に奪おうとすれば噛みつくこともあるので、掘り起こす前に引き離したり、他の餌で注意をそらしたりする必要があります。
トリュフ探しは豚よりも『犬』が主流に
豚はトリュフを見つけても食べてしまうため、近年では『犬』が主流になりました。
- 豚よりも嗅覚が優れている
- トリュフを食べない
- 飼い主に従順
犬は豚よりも嗅覚が優れていますし、飼い主に従順なので勝手にトリュフを食べてしまう心配もありません。
しかし、本能的にトリュフを探す豚と違い、犬の場合は特別な訓練が必要です。
トリュフ犬になるための訓練
トリュフ犬を育てるには、膨大な費用とコストがかかります。
- トリュフの香りを覚えさせる
- 何度も運ばせる
- 土に埋めて探させる
- 食べないようにしつける
優秀なトリュフ犬になるには、3年以上も訓練が必要で、100万円以上の費用がかかるとわれています。
また、ケガをしたときのために最低でも2匹は必要ですし、寿命を迎えたら新たなトリュフ犬を育てなくてはいけません。
イタリアでは豚を使ったトリュフハントが禁止されている
イタリアでは、環境への影響やトリュフ生息地への損害を理由に、トリュフハントに豚を使用することが、法律で禁止されています。
一つ目の理由は、豚は発見したトリュフを食べてしまうため、収穫量が減ってしまうから。
つぎに、豚がトリュフを探す際に地面を掘り返し、トリュフの生息地を破壊してしまうからです。
イタリアでトリュフ犬の訓練施設が充実しており、トリュフ犬の技術を競う大会なども開かれています。
豚がトリュフを見つけられる理由|まとめ
雌豚は、トリュフに含まれる「アンドロステノン」という匂い成分を、雄豚のフェロモンと勘違いして探しています。
本能的にトリュフを探せる豚ですが、見つけたトリュフを食べてしまうため、近年では犬が主流になりました。
わたしたち人間が、トリュフの香りに魅力を感じるのも、動物的な感覚なのかもしれませんね。