トリュフといえば、フォアグラやキャビアに並ぶ世界珍味のひとつです。
土の中に30cm以上も埋まっているので、姿を見せないキノコとしても有名。
手当たりしだいに掘り起こせば見つけることもできますが、未成熟のトリュフだと香りもイマイチ。
一度でも地中から出すと、成長が止まってしまいます。
せっかく苦労して見つけても、あの魅力的な香りがなければ価値はありません。
なので、完全に成熟したトリュフを見つけるためには、豚の嗅覚が必要なのです。
連れていくのはメスの豚だけ。
もくじ
『トリュフの香り』と『豚のフェロモン』が似ている
メスの豚は、特別な訓練をしなくてもトリュフを見つけることができます。
なぜならメスの豚が探しているのはトリュフではなく、オス豚の匂いだからです。
トリュフには「α‐アンドロステロール」という匂いの成分が含まれており、これはオスの豚が交尾時に分泌する「性のフェロモン」と非常に似ています。
つまりメス豚は、トリュフの香りをオス豚の匂いだと勘違いして、必死に探しているのです。
動物の本能で見つけているんだね。
豚がトリュフを食べてしまうことも
メスの豚は特別な訓練をしなくても、トリュフを見つけてくれます。
しかし、「見つけたトリュフを食べてしまう」という事例も多いです。
まぁ、訓練していないから当然ですよね。
とくに一度トリュフの味を知ってしまうと、エサを取られると思って暴れてしまいます。
強引に奪おうとすれば噛みつくこともあるので、他のエサで注意をそらしている間に、トリュフを掘り起こすなどの工夫が必要です。
豚に噛まれたら痛そう……
トリュフ探しは犬じゃダメなの?
豚には劣りますが、犬の嗅覚も優秀なのでトリュフを見つけることができます。
トリュフを見つけたら吠えて教えてくれますし、機動力だって豚の比じゃありません。
むしろ飼い主に従順な犬のほうがトリュフ探しには適しています。
ではなぜ、犬を連れていかないのでしょうか?
それは訓練に時間と費用がかかるからです。
コストの問題
トリュフを見つけられる犬(トリュフ犬)を育てるには、それなりの時間と費用が必要です。
- トリュフの香りを覚えさせる
- 何度も運ばせる
- 食べないようにしつける
- 土に埋めて探させる
- ①~④を何度も繰り返す
完璧なトリュフ犬になるまでに2~3年かかります。
また、ケガをしたときのために2匹以上は必要ですし、寿命を迎えれば新たなトリュフ犬を育てなくてはいけません。
トリュフ犬の育成には時間と費用がかかるため、訓練の必要がない豚を連れて行くのが一般的です。
トリュフ犬の方が優秀だけど、育てるのが大変。
国から補助などがあれば、トリュフ犬が主流になるかもしれませんね。
トリュフを豚が見つけられる理由|まとめ
トリュフの香りはオス豚のフェロモンの匂いと似ています。
なので、メス豚は特別な訓練をしなくても、本能的にトリュフを見つけることができるんです。
必死になってトリュフを見つけても、取り上げられちゃうなんて、ちょっと可哀想な気も……
わたしたちがトリュフの香りに魅力を感じるのも、意外と動物的な感覚なのかもしれませんね。