とろけるような食感と独特な香りで、フランス料理に欠かせない高級食材フォアグラ。
トリュフやキャビアに並んで、世界三大珍味と呼ばれていることでも有名ですよね。
そんなフォアグラですが、生産方法が特殊なため、「かわいそう」「倫理的にどうなの?」という意見があるのも事実。
実際に世界では、動物愛護の観点からフォアグラの生産や販売を禁止している国もあるほど。
この記事では、フォアグラがどのように作られているのか、フォアグラに対する国々の対応などをわかりやすく解説しています。
もくじ
フォアグラの作り方が「かわいそう」といわれる理由
フォアグラとは、カモやガチョウの肝臓を肥大化させたもので、これを人工的に作り出す強制給餌(ガヴァージュ)という飼育方法が問題視されてます。
強制給餌とは、カモやガチョウの食道に特製のチューブを挿入し、大量のエサを無理やりに与え、急激に太らせることです。
- ひな鳥の選別
- 屋外で飼育(3ヵ月)
- 一羽ずつ小さい折に入れられる
- 強制給餌の開始
- 強制給餌を1日に2~3回繰り返す
- 3~4週間後に出荷
強制給餌によって肥大した肝臓は、人間でいうところの脂肪肝の状態になり、それがフォアグラとして市場に出回ります。
しかし、自然界ではありえない速度で肝臓を肥大化させるため、強制給餌を受けたカモやガチョウは、通常の飼育に比べて死亡率が10~20倍ほど高い傾向も。
フォアグラの生産過程には賛否両論あり、製造や販売を禁止している国もあります。
フォアグラを禁止している国も多い
フォアグラの強制給餌に対し、「自然の摂理を無視している」「動物の権利を侵害している」という声が世界中で広がっています。
実際に、フォアグラの生産を禁止している国も意外と多いんですよ。
- イタリア
- チェコ
- デンマーク
- ドイツ
- ノルウェー
- フィンランド
- ポーランド
- ルクセンブルク
- トルコ
- イスラエル
- オーストリア(6州)
- アルゼンチン
- アイルランド
- イギリス
- スウェーデン
- オランダ
- スイス
- マルタ共和国
ただし、フォアグラの生産は禁止されていますが、輸入は規制されていない国もあります。
2022年には食の都として有名なニューヨークでも、フォアグラの販売が禁止されました。
「強制給餌はカモやガチョウに苦痛を与えていない」という意見も
ファオグラに対して批判的な声が集まる一方で、生産者側は「強制給餌はカモやガチョウにとって苦痛ではない」と主張しています。
もともとカモやガチョウは渡り鳥なので、食物を大量に摂取し、短期間で脂肪を蓄える習性をもっています。
なので、「渡り鳥の習性を利用しているから自然に近い状態だ!」「ストレスや恐怖を感じていたら、フォアグラは美味しくならない!」というもの。
しかし、これらの主張については科学的な証拠はないため、真実は強制給餌をおこなわれているカモやガチョウにしか分かりません。
強制給餌をしないフォアグラはある?
一般的に『フォアグラ=強制給餌』という認識ですが、強制給餌をおこなわないフォアグラも存在します。
それがスペインのLa Patería de Sousaという農場で作られたフォアグラです。
La Patería de Sousaでは、自然に近い状態でガチョウを肥育し、渡りの準備を始め、肝臓に脂肪を貯め込んだ状態になってからフォアグラを取り出します。
一般的なフォアグラと生産方法が異なるため、強制給餌による懸念はありません。
しかし、この方法だと年に一度しかフォアグラを作ることができず、値段も180gで199ユーロ(約30,000円)と高価になっているのが現状です。
日本でもファオグラを食べられなくなる日がくるかも
日本でフォアグラに対する規制はまだありませんが、数年後に輸入や販売が禁止になる可能性もあります。
動物の福祉を重視する観点から、フォアグラの生産を禁止している国が増えてきているからです。
実際に日本でもフォアグラに対する批判や抗議も高まっています。
仮に強制給餌をおこなわないフォアグラが主流になったとしても、今より生産数が圧倒的に減少するため、まず日本で見かけることはなくなります。
たしかにフォアグラはもともと高級食材なので、輸入や販売を禁止されたとしても、普段の生活にそこまで大きな影響はないでしょう。
しかし、美味しくないものが世界三大珍味と呼ばれ、ここまで世界中に普及するはずもないので、食べられなったら少し残念な気もしますね。
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【フォアグラ】まずい?美味しい?味や食感をフレンチシェフが解説
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